2020/01/21

開発分野のEvidenceの歩み

青柳恵太郎

開発援助分野の仕事をする私たちにとって2019年は記憶に残る年になりました。もちろんアビジット・バナジー氏、エステル・デュフロ氏、マイケル・クレマー氏のノーベル経済学賞によってです。

受賞後、3氏の業績解説、過去のインタビュー・講演、関連する論考などがメディアやSNSで数多く取り上げられましたが、12月の授賞式での記念講演も終わり、盛り上がりもひと段落してきました。主要な情報については一橋大学の手島さんのまとめをご覧になってください。

まとめにはなかった過去のコンテンツとして、以下もおススメです。

開発援助実務者の中でRCTを含むインパクト評価が頻繁に話題に上がるようになったのは2000年代半ば頃からという実感があります。それから僅か10余年。開発援助の現場でフィールド実験を行うということは見慣れた風景になりました。

こうした変化にはJ-PALに加えて、世銀のDIME、そしてCenter for Global DevelopmentのEvaluation Gap Working Groupが果たした役割が大きかったと思っています。特に、開発援助実務者にとってはWhen Will We Ever Learn? Improving Lives through Impact EvaluationというWorking Groupが出した報告書のインパクトは無視できないものでした。これは、どのようなプロジェクトが機能するかという知見が著しく乏しいことを指摘し、インパクト評価の中核組織の必要性を述べたもので、その後International Initiative for Impact Evaluation、通称3ieと呼ばれる組織の設立につながっていきました。3ieはインパクト評価に特化した学術誌であるJournal of Development Effectivenessの刊行や、エビデンスの集約、データベース提供など、今では開発分野になくてはならない存在となっています。

開発分野のEvidenceの歩みについては、長い報告書ばかりになりますが以下の文献をおススメします。

現在「ランダム化比較試験入門」を連載している縁もあって、次号の『経済セミナー』で予定されているノーベル経済学賞特集に寄稿しました。When Will We Ever Learn?にも簡単に触れつつ、国際開発の実務現場で生じた変化について記載したので、ご覧いただけますと幸いです。 

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