2020/12/13
2020年11月28日、29日に開催された日本評価学会第21回全国大会にて「Google Earth Engineの事後評価への活用」に関する報告を行いました。今回はその報告の概要についてご報告します。
1.報告の概要
事後評価における課題と衛星データの活用
国際協力事業の事後評価では現地調査によるデータ収集が重視されてきましたが、その調査に時間と費用がかかることから、限られた期間と予算の中で効率的にデータを収集することの必要性が指摘されています。これに対し、近年、国際援助機関では衛星データを用いて事業の評価を実施しています。
衛星データの収集・解析には専門性や高性能のコンピュータが必要でしたが、2010年にGoogleが無料の衛星データの解析プラットフォームであるGoogle Earth Engine(GEE)を公開してから、幅広い分野で衛星データが活用されるようになっています。
GEEでの最大のメリットは衛星データの収集・解析・結果の共有までをクラウド上で行うことができるため、作業を効率的に行えるという点にあります。GEE以前は各サイトから大容量の衛星データを自前のコンピュータにダウンロードし、専用の解析ソフトウェアで前処理・分析する必要があり、作業に時間を要していました。しかし、GEE上で前処理済みの衛星データを検索・解析することが可能となり、作業時間を大幅に短縮できるようになりました。
GEEの事後評価への活用
GEEは衛星データを活用するうえで非常に便利なツールと言えますが、国際協力事業の事後評価での活用実績はあまりありません。そこで、その利用可能性を知ってもらうために事後評価の各ステップ(①評価方針の作成→②データ収集→③データ分析)でのGEEの活用メリットを整理しました。下図のとおり、GEEにより衛星データを活用することで効率的・確実なデータの収集が可能になると言えます。
事後評価へのGEEの活用事例
さらに、事後評価へのGEEの具体的な活用方法を実感してもらうため、架空の電力事業を対象に、GEEを用いた衛星データの収集・解析手順を紹介しました。詳細の手順は以下の発表資料(p.12~)からご参照いただけます。
おわりに
国際協力事業の事後評価では、限られた調査期間や予算に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により現地渡航が制限されているなどの更なる制約条件が課せられていますが、GEEの活用によって効率的なデータ収集と質の担保された評価の実施が期待できます。弊社では今後も事後評価への衛星データの活用を進めていきたいと考えています。
2.発表資料
当日の発表資料は以下のリンクからダウンロードいただけます。
https://drive.google.com/file/d/11V3Ch6dRGnT0sBUitDkIJJDTnT7YsvTx/view?usp=sharing