業務実績
世界で最も気候変動に脆弱な国とされるバングラデシュでは、貧困層は自然災害という深刻なリスクに直面しています。貧困層のリスクへの対応能力向上のために、JICAは技術協力プロジェクトによって関連組織が金融及び非金融サービスを提供するための能力強化支援を行っています。多岐にわたるプロジェクト活動の一つとして、貧困層のレジリエンス向上に資するような、非金融サービスと資産保険のような金融サービスとの適切な組み合わせを開発していますが、適切なパッケージを見極めるためには、提案されるアイデアの有効性を適切な形で検証することが不可欠です。私たちは、バングラデシュのパートナー機関と共にランダム化比較試験を用いた商品開発に取り組んでいます。
岡山県では、県内の小中学生の学力の改善や問題行動の減少を目的として様々な事業を実施してきました。こうした事業の一層の強化のためには、これまで実施してきた各種事業を振り返り、必要な改善点を明らかにすることが不可欠です。そのために、私たちはそれらの各種事業について多期間パネルデータを用いた効果検証分析を行いました。また、今後新たに行う事業について、効果検証の観点から実施方法に関する助言も行っています。
岡山県は、エビデンスに基づく政策立案を推進・定着するための取組を強化しています。私たちは、①効果検証を組込んだ新規施策のデザイン策定、②既存事業の効果検証分析、③ナッジ活用のための助言といった業務を通じて、岡山県のEBPM推進を支援しました。
神奈川県横浜市は、EBPMの推進の取組を強化している代表的な地方自治体のひとつです。平成30年5月に「横浜市官民データ活用推進計画」において掲げた「データを重視した政策形成と基礎的データの整備の推進」のために、職員研修、政策効果検証を行うパイロット事業等が行われています。本業務では、横浜市が行う施策の効果検証を行うためのデザイン策定、データ分析といった支援を行いました。
社会全体でCO2の削減を達成するためには、家庭レベルでの省エネが不可欠ですが、家庭における省エネ行動は十分に取り入れられているとは言えません。そうした中で、行動科学の知見に基づく「ナッジ」を活用し、家庭での省エネ行動を効果的に推進するための取組が近年注目を浴びています。
私たちは、大阪大学と複数の地方自治体と協働し、行政窓口におけるナッジを組み込んだリーフレット等による情報提供の試行とその効果検証を行い、省エネ効果と広域展開の容易さを両立させた現実的な取組の開発を行いました。
広島県は、エビデンスを活用した政策立案を実装するための体制構築を全国に先駆けて進めていました。私たちは、①施策のロジックモデル構築支援、②施策の効果検証(インパクト評価)の実施、③政策形成プロセスの手引書の作成、及び④職員への研修の実施といった業務を通じて、広島県が目指す「根拠に基づく政策形成体制の構築」の支援を行いました。
日本財団はミャンマーのシャン州において学校建設や遊具の設置を支援しています。遊具を設置してきた学校からは生徒の通学へのモチベーションが向上したなどのポジティブな意見が聞かれていますが、遊具の生徒への影響を定量的に検証することが期待されていました。私たちは、本事業で新しく設置する遊具に対し、ランダム化比較試験を採用した効果検証を実施する際の評価設計やベースラインデータ収集に関する支援を行いました。
自治体向けの研修コースの1コマとして、EBPMの基礎概念や国内外の動向などについての講義を実施しました。
経団連の会員企業に対し、インパクト評価の考え方や評価デザインに関する研修を実施し、社会的価値の実現に対する企業の貢献を検証する方法について講義や演習を行いました。
EBPMの実務を担当する職員を対象として、エビデンスを作るための適切なモデル事業の在り方についての研修を行いました。ランダム化比較試験をはじめとする評価デザインを用いた効果検証の実施手順に加え、サンプルサイズの検討や分析に必要となるデータの処理などを含む実践的な内容を扱いました。また、参加者の理解を深め、実践力を身に着けることができるよう、演習を随所に盛り込みながら研修を実施しました。
※は補強・再委託・下請などを示します